10091_00011_1

在庫管理を適切に行うためには、理論在庫と実在庫における誤差を確認・修正するなど、定期的な棚卸が欠かせません。

棚卸期間は企業や業種などによりさまざまですが、毎日実施すると多くの時間や労力を要するものです。

また、棚卸の方法は多岐にわたりますが、近年では「循環棚卸」と呼ばれる方法に注目が集まっています。

本記事では、循環棚卸とはどのようなものなのかについて、一斉棚卸との違いやメリット・デメリットなどとあわせて解説します。

 

循環棚卸とは?

循環棚卸とは、在庫を保管場所や商品の種類、作業日などの項目に分けて、順番に棚卸作業を実施する方法です。

通常業務を行いながら対象商品の棚卸も実施できることから、全体のオペレーションを止めずに実施できます。

近年ではEコマースやコンビニといった、24時間稼働しているサービスが増加したため、注目されるようになりました。

後述する一斉棚卸とは異なり、毎日コツコツ実施するのが循環棚卸の特徴といえます。

 

循環棚卸を行う目的は?

10091_00011_2

循環棚卸を行う主な目的は、在庫管理の精度を向上させることにあります。

定期的に小規模な棚卸を行うことで、誤差や在庫ロスを早期に発見し、早急な修正が可能となるのです。

また、業務負担を分散させることで、従業員の負担軽減にもつなげられる点も特徴といえます。

 

一斉棚卸との違い

棚卸の方法として、先述した循環棚卸のほかに、「一斉棚卸」と呼ばれる方法が挙げられます。

一斉棚卸は一定の期間ごとに、倉庫や店舗全体の在庫を一括して確認する方法です。

通常、一斉棚卸は半期または年に1回程度実施され、業務を一時的に停止して行われることが多い傾向にあります。

在庫状況を一度に把握できる利点がありますが、業務負荷が大きく、時間と人手を要する点が課題といえます。

入庫や出庫といった全体のオペレーションが停止するため、売上が一時的に落ち込んでしまう点も懸念です。

 

循環棚卸のメリット・デメリット

こちらでは、循環棚卸のメリット・デメリットをご紹介します。

 

メリット

  • 業務の継続性:一斉棚卸のように業務を停止せずに、日常業務と並行して在庫確認ができる。
  • 在庫精度の向上:定期的に在庫確認を行うことで、誤差を早期に発見し修正できる。
  • 人的負担の軽減:一度に大量の在庫を確認する必要がないため、スタッフの負担が分散される。

 

デメリット

  • 全体の把握に時間がかかる:一斉棚卸に比べ、全体の在庫状況を確認するまでに時間がかかる。
  • スケジュール管理が必要:定期的に棚卸を実施する計画を立てる必要がある。
  • 在庫データの統一が求められる:異なる時期に実施するため、データの整合性を維持する工夫が必要。

 

上記より、循環棚卸はリアルタイムに近い在庫状況を確認できたり、オペレーションを止めずに実施できたりといった点がメリットといえます。

一方、全体を把握するまでに時間がかかり、在庫確認のスケジュール管理に関する業務が増える点には注意が必要です。

循環棚卸の実施を検討する際は、これらのメリット・デメリットを理解しておき、自社物流倉庫に合っているのかを検討しましょう。

 

一斉棚卸のメリット・デメリット

10091_00011_3

下記にて、一斉棚卸のメリット・デメリットをご紹介します。

 

メリット

  • 全在庫の一括確認:倉庫や店舗のすべての在庫を一度に把握できる。
  • 財務管理の精度向上:決算期などに合わせて実施することで、正確な財務情報を得ることができる。
  • 誤差が小さい:一定期間を棚卸業務に集中するため、循環棚卸よりも誤差範囲が小さい傾向にある。

 

デメリット

  • 業務の一時停止が必要:棚卸の間、通常業務を停止しなければならない。
  • 業務負担が大きい:一時的とはいえ、短期間ですべての在庫数量を確認しなければならないため、業務負担が大きくなる。
  • 人員確保が必要:一度に大量の在庫を確認するため、多くの人手を必要とする。

 

上記より、一斉棚卸は一定期間棚卸業務に集中するため、短期間で高精度な棚卸が可能な点がメリットといえます。

しかし、その期間中は入庫や出庫などの業務がストップしてしまうため、売上を建てることができません。

また、一斉棚卸は期間が設けられているため業務負担が大きい点にも注意が必要です。

 

循環棚卸を効率化する方法

循環棚卸を採用し、業務を効率化するためには下記のポイントを押さえておきましょう。

 

業務ルールを設定する

棚卸の頻度や対象商品を事前に決め、スケジュールを立てることで、スムーズな運用が可能になります。

 

在庫管理システムを導入する

WMS(倉庫管理システム)やRFIDなどの技術を活用することで、リアルタイムでの在庫確認が容易になり、精度の向上が期待できます。

 

循環棚卸をアウトソーシングする

循環棚卸専門の業者に委託することで、効率的かつ正確な棚卸を実施することが可能になります。

 

おわりに

本記事では、循環棚卸と一斉棚卸の特徴について解説しました。

循環棚卸とは、在庫を保管場所や商品の種類、作業日などの項目に分けて、順番に棚卸作業を実施する方法です。

一方、一斉棚卸は一定の期間ごとに、倉庫や店舗全体の在庫を一括して確認する方法を指します。

それぞれにメリット・デメリットをはじめとした特徴があり、自社物流倉庫に合った方法の検討が重要です。

棚卸業務に課題を感じている運営者は、棚卸方法の見直しを検討してみましょう。