倉庫や物流には多くの商品が在庫されており、受注を得た際には必要なものを必要な量だけピッキング・梱包・配送します。
商品のなかには定番商品や売れ筋商品といったものだけではなく、なかなか売れないものも含まれています。
在庫商品の出入りについてはさまざまな指標で管理されており、「在庫回転率」として用いられます。
本記事では、在庫回転率の計算方法について、適正値や在庫回転期間との違いとあわせてご紹介します。
在庫回転率とは、一定期間内にどれだけ在庫が売れて(回転して)いるかを示す指標です。
この指標は、企業が在庫をどれだけ効率的に活用しているかを把握するために重要です。
倉庫のなかにはさまざまな商品が在庫されており、仕入れる際には必ず原価が発生します。
売上が発生するタイミングは商品が売れたときであり、商品が顧客のもとに届くことで収益を獲得できます。
在庫回転率が高い商品は売れ行きが良好であることを示し、逆に低い場合は在庫過剰や商品の滞留を意味します。
物品・倉庫を有する企業の場合、経営指標として見られるほど重要な数値であり、在庫回転率の改善が経営に直接影響を与えます。
在庫回転率を適切に管理することは、効率的な在庫管理につながり、ムダなコストの削減や利益向上に寄与します。
在庫回転率の適正値は業界や商品によって異なりますが、一般的には1年を通して「6回以上」の回転が望ましいとされています。
ただし、商品の特性や販売の季節性に応じて適正な回転率は変動するため、業界のベンチマークを把握しておくことが重要です。
在庫回転率は、通常「売上高」または「売上原価」を「平均在庫高」で割ることで算出できます。
こちらでは、金額ベースと数量ベースの2つの方法をご紹介します。
金額ベースで計算する場合、売上高や売上原価を平均在庫額で割ります。
下記は金額による在庫回転率の計算方法です。
この計算方法は、在庫を金額で管理する企業の管理に適しています。
在庫数による計算方法では、売上数量を平均在庫数で割ることにより計算します。
計算式は次の通りです。
この計算方法は、商品の数量を基準にして管理している企業が管理の際に使用します。
在庫回転率と似たような言葉のなかには、「在庫回転期間」と呼ばれるものがあります。
在庫回転率は一定期間内に在庫が何回転したかを示しますが、在庫回転期間はその在庫が平均して何日保管されているかを示します。
在庫回転期間は、下記の式で計算できます。
この計算式では、365日を在庫回転率で割ることで、1年あたりの在庫がどれくらいの日数で回転しているかを知ることができます。
在庫回転率を把握することで、下記のようなメリットを得られます。
在庫回転率が低い場合、需要に合っていない過剰在庫となっている可能性があります。
在庫数量および在庫過多を早期に把握することで、ムダな在庫の保管コストを削減できます。
在庫回転率を把握することで商品の動きが明確になり、売れ行きが良い商品と不良在庫を区別できるようになります。
売れ行きが良い商品の在庫を厚くし、不良在庫を減らすことで保管コストの抑制および回転率向上が期待できます。
在庫回転率を定期的にチェックすることで、顧客の購買傾向を把握し、在庫の調整や販売戦略を改善するための参考になります。
かつて売れていた商品の回転率が下がっている場合、顧客のニーズが変化したことにより需要が減少したと考えられます。
在庫回転率を上げるためには、下記の実践をおすすめします。
企業は適切な業界水準や過去実績を参考に在庫回転率の目標値を設定し、その目標を達成できるように経営します。
目標値を設定することで、改善に向けた具体的なアクションを考えられるようになります。
商品の調達から販売までのリードタイムを短縮することで、在庫が長期間滞留することを防げます。
リードタイムの短縮は在庫の回転を促進するほか、顧客満足度の向上に影響を及ぼします。
健全に倉庫を運営・管理するためには、不良在庫や過剰在庫を把握し、適切に在庫を調整することが重要です。
定期的な在庫チェックを行い、不良在庫を削減することで回転率が向上します。
本記事では、在庫回転率について解説しました。
在庫回転率とは、一定期間内にどれだけ在庫が売れて(回転して)いるかを示す指標です。
金額および在庫数から算出できますが、何を指標にするかについては企業により異なります。
在庫回転率を把握することで、在庫過多の抑制、在庫の動きの理解、顧客ニーズの理解といったメリットを得られます。
不良在庫であふれる前に、各商品の在庫回転率を把握しておきましょう。